第7回日本免疫毒性研究会報告


実行委員長 上田志朗
2001; 6(1), 1

 第7回 免疫毒性研究会すなわち最後の免疫毒性研究会を「基礎から臨床へ」を主要テーマに,20世紀最後の年,2000年9月25日,26日千葉市の千葉大学内けやき会館にて開催させていただきました。

 研究会直前の幹事会にて年来の課題であった,研究会から学会への移行を提案することが承認され,総会にて討議され賛成多数で決定されました。このことは20世紀から21世紀に向けての当会の発展を予測し促すことと信じます。

 研究会そのものは,一般演題21題が盛んな討論を伴って発表されました。ワークショップでは澤田先生,牧先生の座長のもと「医薬品の免疫毒性評価手順を検討するための協同研究」と当会のメインテーマに直接繋がる基礎的研究を8グループの先生方が発表されました。

 さらに,招待講演に米国College of Veterinary MedicineのSteven D. Holladay助教授による"Developmental immunotoxicity induced by dioxins",特別講演に千葉大学の斎藤隆教授による"アレルギー性疾患の誘導とFcレセプター"と基礎と臨床の懸橋となる御講演をいただきました。2日目には,「臨床例による薬剤・化学物質による免疫毒性―症例を中心に−」を主題としてシンポジウムが各分野の臨床医師により発表されました。臨床例における実際の免疫毒性に接し,免疫毒性の予測,予防の重要性と会員一同の研究の進展への期待が大きいことが実感できました。

 第8回日本免疫毒性学会は香山不二雄自治医科大学教授のもと宇都宮で開催されますが,基礎から臨床の多くの研究者が集い21世紀の社会に貢献する免疫毒性学会の第一歩が刻印されることを祈念しております。


第7回免疫毒性研究会報告

幹事 牧 栄二
2000; 5(2); 1

平成12年9月25,26日の両日第7回免疫毒性研究会が,上田志朗(千葉大・薬)実行委員長の運営により,千葉大学けやき会館にて,116名の参加者の下に開催された。

今回は海外からの招待講演者として,米国Virginia Polytechnic InstituteのSteven D. Holladay助教授をお招きし,ご講演をお願いした。

Holladay助教授からは,ダイオキシン(TCDDとその類似化合物)によって展開される免疫毒性に関して,ダイオキシンの免疫機能に及ぼす影響とヒトへの関わり合いについて,今後の検討課題も交えてご講演頂いた。

ワークショップでは「医薬品の免疫毒性評価手順を検討するための共同研究」と題して,製薬協が安研協の参加の下に,代表的な化合物を用いて病理・血液学的所見と免疫機能との関連性を調べ,医薬品の免疫毒性評価におけるそれぞれの試験の位置付けについて報告し,各報告毎に活発な質疑応答がなされた。

今回の研究報告は今後の医薬品開発における免疫毒性検討に貴重な情報を提供し得るものと考えられ,その意義は大きい。

シンポジウムにおいては,臨床例における薬剤・化学物質による免疫毒性について,症例を中心に報告が行われた。

それぞれの報告ではヒトにおける薬剤・化学物質の免疫毒性に起因する副作用の激しさが示され,医薬品開発時の免疫毒性検討の重要さが暗示され,聴講者にはそれぞれの立場で感ずるところの多い報告であった。

特別講演として,千葉大・大学院医学研究科・遺伝子制御学の齋藤隆教授から「アレルギー性疾患とFc receptor」について講演を頂き,多くのアレルギー性疾患の誘導がFcレセプターを介して行われており,治療応用への重要性と奥深さが理解できた。

一般演題は21題の応募があり,いずれの演題においても活発な討議が行われ,当研究会の趣旨に沿うものであった。