ImmunoTox Letter

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新評議員より
評議員就任にあたって

久富 晃彦
アステラス製薬株式会社
研究本部安全性研究所

久富晃彦先生
久富晃彦先生

 この度、日本免疫毒性学会評議員を拝命させて頂くことになりましたアステラス製薬安全性研究所の久富晃彦と申します。ご推薦・ご承認を賜りました先生方および諸先輩方には厚く御礼申し上げます。本紙面をお借りして皆様にご挨拶させていただきます。
 私は九州大学大学院薬学研究科修士課程を修了し、藤沢薬品工業株式会社(現アステラス製薬株式会社)に入社し、安全性研究所に配属されました。入社当初の頃から、弊社の免疫抑制剤タクロリムス(FK506)の開発における現場での安全性評価を行う仕事の機会があり、この仕事を通して医薬品評価の経験・学びを重ねることができました。それと並行して、医薬品開発化合物の抗原性試験(モルモットを用いた全身性アナフィラキシー試験や受身皮膚アナフィラキシー試験など)、感作性試験などの特殊毒性の評価も担当して参りました。
 以前、私は日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会主催による"医薬品の免疫毒性評価手順を検討するための共同研究"に参画させていただいていたのですが、その成果の1つを2000年の第7回学術年会で発表させていただいたことが貴学会との関わりの始まりです。この研究・発表において、自社以外の製薬企業、CRO等の研究者の方々と様々な議論、交流できましたことは私の貴重な財産になっております。それ以来、ラットにおけるT細胞依存性抗体産生能(TDAR)の研究やマウス膝窩リンパ節試験(PLNA)の研究について貴学会において発表させていただいております。
 また、現在、社内での業務の一つとして、免疫毒性試験の試験責任者および一般毒性試験の試験責任者も担当しております。
 最近,私が興味を持っておりますのは薬剤性間質性肺炎です。臨床での薬剤性間質性肺炎は重篤な副作用ですが、現在、非臨床では間質性肺炎は適切に検出・予測できないと一般には認識されております。病態の機序の一つとして、アレルギー反応によるものが考えられておりますが、まだまだ未解明の部分も多いようです。このような状況でありますことから、将来的に、非臨床で検出・予測ができるようになれば、薬剤性間質性肺炎を起こすリスクのより低い薬剤の創出につながるのではと考えております。
 最後になりましたが、本学会の更なる発展に微力ながら貢献できますよう、研鑚して参りますので、日本免疫毒性学会の諸先生方におかれましては、今後とも、ご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。