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Non-category (寄稿・挨拶・随想・その他)
評議員就任にあたって
−免疫毒性学領域での新たな研究に向けて
佐藤 実
産業医科大学産業保健学部
成人老年看護学講座
佐藤 実

このたび日本免疫毒性学会の評議員を拝命させていただき、ご推薦を賜りました先生方に厚く御礼申し上げます。紙面をお借りして皆様にご挨拶させていただきます。

私は小学校6 年の時に東京から岩手県盛岡市に引っ越し、中学、高校、大学まで過ごしました。岩手医科大学医学部卒業後、慶応義塾大学および関連病院で内科医、膠原病専門医として10年ほど臨床、研究に携わり学位取得後1991年に米国留学しました。2 年間の予定でしたが、新しいマウスの自己免疫モデルを発見したことなどから帰国する時期を逃し、ノースカロライナ大学チャペルヒル校に8 年半、フロリダ大学に14年と計22年間、米国で過ごしてしまいました。昨年7 月から産業医科大学産業保健学部に勤務しており、慣習の違いに戸惑うことも多々ありますが徐々に日本の生活に慣れてきています。

30年ほどの研究生活を通じ、膠原病の自己抗体の臨床的意義およびその産生機序、特に化学物質、環境因子の役割を研究テーマとしてきました。チャペルヒル時代に発見した正常マウスへの鉱物油成分投与による自己免疫疾患は、化学物質による新たなモデルとして広く使われるようになりました。ノルウェーとの共同研究で、養殖サケに鉱物油アジュバントを用いたワクチン接種による自己免疫疾患が高頻度にみられることを報告したことは、養殖魚の質、食の安全において注目されました。 今後もアメリカ、ヨーロッパ、日本などの共同研究網を生かし、幅広く研究を続けるつもりです。鉱物油曝露と自己免疫の関連は十分な研究がなされていない分野ですので産業医大の特性を生かし、免疫毒性学会の諸先生方にご指導いただきながら本邦における産業衛生、環境衛生領域での自己免疫疾患の研究を進めたいと考えています。免疫毒性学会には、自己抗体研究を専門とする膠原病内科医という立場から貢献したいと考えております。

今後ともご指導ご鞭撻賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

 
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