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新理事就任にあたって
斎藤 嘉朗
(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部長)

2013年10月1 日より日本免疫毒性学会の理事を拝命いたしました国立医薬品食品衛生研究所の斎藤嘉朗と申します。理事長にご就任されました吉田貴彦先生の後任として、会計を担当しております。身に余る重責ではございますが、先生方のご指導をいただきながら、本学会の円滑な運営と発展に少しでも貢献して参りたいと存じますので、宜しくお願い申し上げます。

恥ずかしながら私は大学院時代には電気生理の研究を行っており、免疫学または毒性学の研究室出身ではございません。しかし国立医薬品食品衛生研究所に入所して澤田純一先生、手島玲子先生にご指導をいただき、徐々に免疫毒性に興味を抱くようになりました。留学先はトロント大学医学部で、教授が免疫学と生化学の教授を兼任しており、内容としてはMHC class I分子の小胞体でのfoldingと抗原ペプチドの結合を促進する分子シャペロンの機能に関する研究を行いました。帰国後は薬物代謝酵素等の遺伝子多型解析研究を経て、澤田先生のご退官と同時に、現在の医薬安全科学部に異動しました。

弊部では重篤副作用の発症予測因子の同定、発症機序の解明に関する研究を行っております。ご存じの通り、特異体質性と言われている重篤副作用は稀ですが、死に至る可能性があり、医薬品の開発や適正使用において重要な問題です。これら特異体質性重篤副作用の機序として、免疫系の関与が示唆されています。特に重症薬疹や薬物性肝障害では、我々の研究を含めHLA型の関与が薬理遺伝学的に示唆されており、最近ではその分子論的メカニズムとして、医薬品のHLA分子への非共有結合、さらにその構造が非自己としてT細胞に認識されることが重要であるとされております。現在の部に異動して5 年目となりますが、昨年5 月からは本学会でお世話になっている中村亮介博士も室長として参加しており、これからも医薬品の免疫学的副作用に関して鋭意研究を行っていく所存です。

本学会は食品、化学物質から医薬品まで、幅広い対象の免疫毒性研究者が一堂に会する貴重な場であります。学会での議論を通じて新たな研究の方向性に関するヒントを得た先生方も多いと思われます。活発な相互交流などを通じて、日本の免疫毒性研究のレベルを上げることができるよう、微力ながら尽力して参りたいと存じますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。

 
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