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評議員就任にあたって
河井 良太
(第一三共株式会社安全性研究所)

日本免疫毒性学会の評議員に、この度就任させて頂きました。所属や年代を超えて幅広い領域に亘る研究者が、どこかアットホームな雰囲気の中「免疫毒性」をキーワードに活発に議論している本学会の評議員を務めさせて頂くことを大変名誉なことと感じております。ご推薦頂きました諸先生に深く感謝申し上げます。

私が免疫毒性に関する研究を始めたのは、大学院農学研究科の修士学生時代でした。当時は、Brown Norway Rat及び細胞系を用いたアレルゲン性評価法について検討しておりました。20世紀末のその当時、食品に含まれるアレルゲン表示が義務付けられました。一方、除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え作物が海外で作出され、新規のタンパクのアレルゲン性評価も注目されていました。そのような時代背景の中、食品素材中のアレルギー惹起成分の同定、抗アレルギー物質の有効性や、食品からのアレルゲン除去法、除去率を評価する判定法の確立を目指して研究しておりました。その過程で、アレルゲン性タンパクに対する抗体産生の評価、免疫系器官や末梢血のフローサイトメトリー、培養細胞からのケミカルメディエーターの定量など、免疫機能評価の基本を習得しました。経口投与での感作成立に苦労し、DEPや塩化水銀(U)など、検出感度を高めようと手当たり次第模索していました。学生当時、本学会に所属していれば諸先生方から多くのヒントをいただけただろうにと今になって思います。

現在の会社に入社以来、開発化合物の非臨床安全性評価に関わってきました。抗原性試験、局所刺激性試験、免疫毒性試験等の特殊毒性評価に従事し、現在では一般毒性の試験の試験責任者を担当しております。本学会で初めて発表させていただいたのは第9 回学術大会(静岡)でした。以来、免疫毒性試験、特にT細胞依存性抗体産生応答(TDAR)について検討を重ね、本学会を通じて、ラットを用いたTDARの施設間バリデーションにも参加させていただきました。また、昨今のバイオ医薬品のシェア拡大に伴い、その免疫原性やインフュージョン反応についても注目されています。本学会での議論から数多くの情報を収集させていただいております。免疫毒性学分野のさらなる発展が重要であることは言うまでもなく、本学会が果たす役割は大きいと考えます。本学会の発展に少しでも貢献できますよう努力して参りますので、ぜひ、皆様方のご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 
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