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≪免疫毒性試験の国際動向,ICHガイドライン≫
免疫毒性試験に関するガイドライン等の情報(2011年4 月〜11月)
学術・編集委員会

 本号から、学術・編集委員会では、MHLW(厚生労働省)、EMA(欧州医薬品庁)、FDA(米国食品医薬品局)、OECD(経済協力開発機構)などの各極規制当局あるいは国際機関から発表されたガイドライン等(案も含む)の中の免疫毒性試験に関する記載について、その内容を簡潔に紹介することにしました。本号では、2011年4 月から11月までに公表された文書を対象としました。

1 .「小児用医薬品のための幼若動物を用いた非臨床安全性試験ガイドライン(案)」に関するご意見・情報の募集について(2011年5月2日、厚生労働省医薬食品局審査管理課)
ガイドラインの目的:小児用医薬品開発のための幼若動物を用いた非臨床安全性試験の必要性の検討、実施する場合の試験計画、実施時期および試験結果の利用について推奨される考え方を示すこと
適用範囲:新たに小児用医薬品を開発する場合に適用(ただし、バイオテクノロジー応用医薬品はICH-S6ガイドライン、抗悪性腫瘍薬はICH-S9ガイドラインに従う)免疫毒性試験に関する内容:試験法の具体的な記載はなく、「対象小児において発達過程にある器官や機能に関連した」検査項目の一つとして免疫系が、神経系、生殖器系、骨格系、呼吸器系、泌尿器系、循環器系および代謝系と共に併記され、「使用する実験動物においてヒトに相当する時期に投与及び検査を行うべき」と記載。試験の種類は、広範囲な毒性を検出するためのスクリーニング試験および特定の器官・機能への影響を検討するために標的毒性試験の2 種類に分類され、スクリーニング試験では反復投与毒性試験および出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験の検査項目と検査時期を参考にすべきと、標的毒性試験では少なくとも一般状態および体重とともに標的毒性の検出に特化した検査項目が選ばれるべきと記載。
コメント募集期限: 7 月1 日(終了)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110044&Mode=0

2 . OECD Guideline for the Testing of Chemicals:Extended One-Generation(No. 443、2011年7 月28日)
ガイドラインの目的:拡張一世代生殖毒性試験の試験手順およびF1新生児を対象に実施される3 コホートの評価手順を示すこと
適用範囲:化学物質全般
免疫毒性試験に関する内容:F1新生児の検査として生殖器系および一般毒性を検査する群(コホート1A)を設定。出生後21日目にF1新生児を群分けし、各群雌雄20匹ずつを割り当て。各群雌雄10匹について、出生後13週目に薬剤投与部位に接するリンパ節および投与部位から遠位のリンパ節の重量測定並びに脾臓のリンパ球サブセット(CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞)を測定。加えて、発達期の免疫機能を検査する群(コホート3 )を設定し、出生後21日目にF1新生児を群分け、各群雌雄10匹(可能であれば、一腹あたり1 匹)を割り当て。出生後56日目(± 3 日)にT細胞依存性抗体産生試験を実施。羊赤血球(SRBC)またはkeyhole limpet hemocyanin(KLH)に対する一次IgM抗体産生応答を脾臓中のプラック形成細胞数あるいはELISA法による血清中のSRBCまたはKLH特異的抗体価により測定。被験物質は、脾臓あるいは血清採取の前日まで投与。
http://www.oecd-ilibrary.org/content/book/9789264122550-en

3 .ICH Harmonised Tripartite Guideline: Preclinical Safety Evaluation of Biotechnology-Derived Pharmaceuticals S6(R1)(Step 4 version、2011年6 月12日)
ガイドラインの目的:現行のICH S6ガイドライン(バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価)の補遺として、ICH S6ガイドラインに記載されている動物種の選択、試験デザイン、免疫原性、生殖発生毒性およびがん原性評価の各項目についての明確化およびアップデートを行うこと
適用範囲:細菌、酵母、昆虫、植物および哺乳動物細胞を含む種々の発現系を用いて特性解析がなされた細胞に由来する医薬品
免疫原性に関する内容:バイオ医薬品の非臨床安全性評価において免疫原性評価の考え方も記載; 1 )動物実験においてヒトまたはヒト型化タンパク質の免疫原性を評価することは、ヒトでの免疫原性を予測するものではない。2 )抗薬物抗体の測定は、薬力学的マーカーの変化、薬力学的マーカーが利用できない場合での予期せぬ薬物曝露量の変化、または免疫介在性の反応(免疫複合体病、脈管炎、アナフィラキシーなど)の所見がみられた場合に必要。3 )抗薬物抗体が検出された場合には、試験結果の解釈に与える影響を評価すべき。4 )インビボ毒性試験において抗薬物抗体が検出され、薬理作用の維持を示す薬力学的マーカーがない場合には、中和活性を解析する必要がある。
http://www.pmda.go.jp/ich/s/step4_s6r1_e.pdf

4 .その他
昨年の11月にEMAから公表されたモノクローナル抗体に関する2 件のドラフトガイダンス(モノクローナル抗体を含むバイオシミラー医薬品に関するドラフトガイダンス(EMA/CHMP/BMWP/403523/2010)およびモノクローナル抗体医薬品の免疫原性評価に関するドラフトガイダンス(EMA/CHMP/BMWP/86289/2010))に関連した非公開ワークショップが10月24日にEMAにて開催され、非臨床上の課題、臨床上の課題、免疫原性評価、ファーマコビジランスについて規制当局および製薬業界からの発表とパネルディスカッションが行われた(詳細不明)。
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_
library/Agenda/2011/10/WC500116950.pdf


(N.T記)
 
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