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第51回SOT顛末記
国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部
中村 亮介

 国立衛研の中村です。

 このたび、2012年3月11日から15日まで、サンフランシスコ(SF)で開催された第51回SOTにシンポジストとして参加する機会を与えられ、緊張の連続ではありましたがなんとか任を果たして参りました。私が当時どういった心理状況にあったかについては近々発行予定のImmunoTox Letterに長々と記しましたので、ご興味のある方はそちらをお読みいただければと思います。

 今回は、そのImmunoTox Letterのゲラ刷りを見て、自分の参加手記だけやけに間の抜けた雰囲気になってしまっていることに驚き、少しぐらいはちゃんと学術的なことも書いておかないと、「詳しくは中村の報告を読め」とせっかく手記の中で振っていただいた手島先生にも申し訳ないというか、あまりに空気の読めない記事で紙面を汚してしまったことを今更ながら後悔しているというか、まぁそういった反省を込めつつ当時を振り返りたいと思った次第です。逆にしておけばよかったなぁ。。

 さて、上記手島先生の手記にもありましたが、シンポジウムで私に与えられた課題は「In Vitro Provocation Study」というものでした。平たく言えば、アレルギーなどの病気を試験管内で再現しようという試験法のことですが、現時点では、この用語は広く認知された学術用語とは言いがたいように思います。実際のところ、アレルギーの分野でin vitro provocationといえば、ほとんどが患者好塩基球の活性化試験を指すことが多いでしょう。しかしながら、患者の好塩基球というものは保存が利かないため、採血したら遅くとも一両日中には試験をしなくてはなりません。私は、このような試験は本来「ex vivo」と呼ぶべきであって、厳密な意味では「in vitro」とはいえないものと考えています。では、(アレルギーの分野で)「本当の(bona fide)in vitro provocation」とは何だろうか、そのメリットとデメリットとは、という話をシンポジウムではしてきたつもりでおります。まぁ、最後は私たちの開発した「EXiLE法」の宣伝に持っていったわけですが。

 しかし、日本だと「この試験法を『EXiLE法』と命名いたしました」と言うところでいつも会場の失笑を買うわけですが、さすがに海外だと軽く流されますね。それがよいか悪いかはさておき。また、発表後に参加者から「EXiLE is interesting!」などと言われましたが、「それ、日本で言うとまったく別の意味に取られますよ」などというお話は結局できませんでした。英語力不足を痛感します。

 さて、肩の凝る学術的な話はこれぐらいにしておいて、字数の都合でImmunoTox Letterの方には書けなかったエピソードをいくつかご紹介しておきます(結局こうなる)。

 まず、会場について。とても広くて設備も充実しており快適なのですが、レセプションのドリンクが有料なのには驚きました。そのくせポスター会場で配っているポップコーンは無料というのが更に驚きでした。

 驚きといえば、大槻先生を始めとする川崎医科大学の先生方は、SFのSOTのあとそのままメキシコに直行して別の学会に参加し、さらにそのまま国内の学会に参加するという超人的なスケジュールをこなされているということに驚かされました。見習うべきところが実に多いです。なお、大槻先生とは学会中にFacebookの「友達」にもなっていただきました。

 そして、日本から参加されていた本学会の先生方の知られざる(?)一面を垣間見ることができたことも貴重な経験でした。ここであまり詳しいことを書くとご本人にご迷惑が及ぶかもしれませんので簡単に箇条書きで書きますが、1)中村和市先生と電車、2)野原先生とCOACH、3)野原先生と耳年齢アプリ、4)西村先生と水曜定休日、など、次にご本人とお会いしたらぜひまたこれらのキーワードで当時を振り返ってみたい思い出がたくさんできました。

 多くの方々からご指導を賜り、またご迷惑をおかけしつつ参加させていただいたSOTでしたが、私にとってはすべてが非常によい経験になりました。最後に、関係者の皆様のご尽力に感謝いたしたいと思います。ありがとうございました。


ISSのレセプション風景


発表後のリラックスした様子


フィッシャーマンズワーフからの帰り道


COACH MY LOVE

 
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