学会概要

理事長挨拶

平成25年10月
旭川医科大学 吉田貴彦

吉田貴彦

2013年9月12日の東京代々木での日本免疫毒性学会第20会学術大会の際に開催されました理事会にて推挙され総会で承認を受けることで、新しい年度10月からの日本免疫毒性学会の理事長を仰せつかりました。免疫毒性学会は前身の免疫毒性研究会の発足から今年で20回の年会の節目を迎えました。今まで、名倉宏先生、大沢基保先生、澤田純一先生と引き継がれて発展してきた本会の理事長をお引き受けするのは、いささか荷が重いのですが、微力ながら本会の発展のために努力致す所存です。

本学会は、免疫機構・免疫応答を標的とした毒性学にかかわる専門領域の研究者が一同に会して活動する団体です。免疫系に影響を及ぼす要因(主には化学物質)は、ある目的をもって体内に取り込まれる場合と、生活する環境から意図せずに取り込まれる場合があります。前者の代表例は医薬品であり、後者は食品汚染、空気汚染、水質汚染などです。そのため、本学会員の背景は多様であり、創薬・製薬から産業保健や環境保健、企業から大学・行政と広くなっています。また、最近では健康食品、サプリメント、多様な化粧品が用いられるようになり、さらに遺伝子組み換え作物やナノマテリアルといった新たな対象物も増えつつあることから、人々が安全、安心に暮らせるように本学会では多様なニーズに対応していくことが求められています。

また、免疫毒性学の研究手段である実験手法はトキシコロジーの国際標準手法に基づいて整備されて来ましたが、免疫学や分子生物学の研究手法の急激な発展を受けて、新たな局面に入ったような気がします。私自身、1980年代の免疫毒性学の初めの頃から研究にかかわって来ましたが、昨今の学会での発表にふれ、当時にメカニズムが不明であった免疫毒性の現象が解明されるようになり改めて報告されるなど、研究の歴史も繰り返されるとの実感を新たにするとともに時の流れの早さを感じています。本学会に属する研究者が多様な研究手法をもちいることで、社会から期待される成果をあげていただきたいと願っています。

前理事長挨拶