学会概要

理事長挨拶

令和元年10月
北里大学獣医学部 中村和市

中村和市

この度、日本免疫毒性学会の第5代理事長を拝命いたしました中村和市と申します。吉田貴彦 前理事長(旭川医科大学教授)の後任として、本年10月から任期3年間を務めさせていただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。

さて、日本免疫毒性学会も前身の免疫毒性研究会発足(1994年)から数えて25年が経ちました。その間、免疫毒性学も広く認知されることになりました。発足当初は免疫毒性の定義に関する議論を行いながらも、既に金属や環境化学物質の免疫毒性研究が進められておりました。一方で低分子化合物のアレルギー発現に関する評価法の検討も行われておりました。第2回(1995年)、第3回(1996年)免疫毒性研究会では免疫毒性学の基礎を築かれた米国、オランダからの研究者をお呼びし、国際的な視野から学会は歩んでまいりました。2000年代に入ると医薬品開発のグローバル化が加速し、医薬品の免疫毒性試験法の議論が国内外で活発化、学会をあげて国際調和試験法ガイドラインの作成に貢献いたしました。試験法の検討もひと段落し始めた2010年代には、環境影響評価に関して新たな課題が提起され、新たなモダリティの医薬品が次々と世に出てきました。そのようななか、当学会は物質の曝露・感作から炎症、免疫抑制・亢進、これらの評価法や機序解明まで含め幅広く免疫毒性を議論する場を設けてまいりました。

米国トキシコロジー学会免疫毒性部会との交流も進められ、2006年にはResearcher Exchange Programを立ち上げ、毎年合同シンポジウムの企画・提案や研究者の派遣と招聘の交流を行ってまいりました。日本毒性学会とも連携を深め学術年会では隔年で合同シンポジウムを開催させていただいております。国際的にもレベルの高い免疫毒性研究のもと、国内外の各方面から大きな期待が寄せられております。

免疫毒性は、皮膚毒性、呼吸器毒性、血液毒性、肝毒性、腎毒性、生殖毒性、発生毒性にも密接に関わっていることがあります。これまで諸先生方が築きあげられた成果・実績を胸に刻みながらも、新たな課題に対して勢いのある研究者を支援し、さらに活気ある学会にしてまいりたいと考えております。何卒、ご指導、ご支援をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。

前理事長挨拶